アイガモ農法について

   


 アイガモを水田に放して(放飼と言う)、除草や害虫を駆除させ、無農薬で安全な米と鴨肉を同時に育てようというのが「アイガモ農法」です。私たちはこの農法を「合鴨水稲同時作」と言っています。
そもそも鴨を水田に放飼する農法は、わが国では約400年前安土・桃山時代に、豊臣秀吉によって推奨されたと言い伝えられています(秀吉としては、鴨が飛び立つことによって、敵の夜襲を知るという軍略的な意味もあったようです)。
 その後もこの伝統的な農法は近畿地方を中心に戦後は鴨からアヒルに受け継がれましたが、戦後の増産主体の近代化農業の中で、非能率的で時代遅れの農法として、忘れられました。しかし現在では、「完全無農薬栽培」は夢のものとし、除草剤以外の農薬はできるだけ使わない、いわゆる「減農薬栽培」がむしろ現実的栽培法として農家の共感を呼び、一定のひろがり(低農薬栽培・減農薬栽培)を見せています。だが、夢と思われていた、除草剤を使わない稲作りがアイガモを水田に入れることによって、現実のものとなったのです。

 ━合鴨農法の効用━

  1. 合鴨は水田に生い茂る雑草が大好物なので、その旺盛な食欲により、水田内の雑草を食べてしまい、除草剤が要らない。                                     
  2. 合鴨の趣味は虫(害虫)取りです。害虫防除用の殺虫剤は一切不要です。        
  3. アイガモは泳ぎながらくちばしや足で水田の泥水を掻き回し、水田内に酸素を補給するとともに稲の株元をくちばしでよくつつくため、株張りがよくなるほど、中耕の役割をします。                                                                               
  4. アイガモの排泄する糞尿は肥料に早変りします。                                   
  5. 農薬を使わない事により、水田周辺の生物が増殖するなど、自然環境の復元・保全に役立ちます。                                                                       
  6. 刈り取り後の水田放飼による、自然耕の効果は抜群。                                 
  7. 安全な米(主食)の供給が可能。                                                      
  8. 合鴨農法の実践により、稲作技術の意識、向上に貢献。                                  


合鴨の特徴

 
1.動物から植物まで何でも食べる−−−雑食性、食性域が抜群に広い
 2.人間を親と思って慣れ親しむ−−−−これを刷り込みと言い、管理が容易
 3.群れる習性が強い−−−−−−−−追えばよく集まり誘導がしやすく管理が容易
 4.水の中を泳ぐ−−−−−−−−−−水田放飼に向いている
 5.鳥肉として美味である−−−−−−−ブロイラーに比較して抜群に美味

合鴨農法の魅力

1)田圃は稲だけを作るところではない−−水田に於ける有畜複合の復活

 2)生き物のすばらしさ−−−−−−−−−除草剤、殺虫剤、化学肥料、農機がいずれも石油に依存した個別技術の寄せ集めに対し、合鴨はこのことをすべて一羽で行い、しかも最後には私たちに食肉まで提供してくれる。

 3)敵であった雑草や害虫が味方になる−−それを取り除く技術のみにこだわってきた従来の発想を根底から覆し人間と自然認識のあり方に新しい示唆を与えた。

 4)家畜の3つの働きを総合的に活かす−−家畜の三つの機能(用畜・糞畜・役畜)の内、用畜(乳肉卵の生産)のみに偏重してきた近代化畜産の歪みに一石を投じた。

 5)農業が楽しい−−−−−−−−−−−−農民に米作りの楽しさを呼び起こさせた。農業復権への精神的効果を提起した。

 6)無農薬で安全な米が初めて実現した−−除草を手作業によらないで、無農薬の米作りが出来るようになった。

 7)農家の所得を向上させる−−−−−−−合鴨米、合鴨肉が消費者に高く評価されている。

 8)環境を守る環境調和型農業−−−−−−農薬・除草剤や化学肥料を使わない。

 9)命をはぐくみ、命をいただく農業の本質を教えている−−−田圃でいきいきと泳ぐ合鴨を見て、最後に殺して食べる事への罪悪感、疑問を抱く人がいる。

       このことが生き物の命をはぐくみ、命をいただく農業の本来的な意味を、子供たちや消費者に問いかけるきっかけになり、「農業の教育力」としての認識を深めさせる。                        

合鴨農法の課題
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